音楽と人生

今日、2歳からうちの教室に来てくれて、今大学3年生となっている生徒さんと話をしていた。彼女は、音大には行っていませんが、コンクールで1位になるほどの実力の持ち主。中学の時に一度辞めたいと言ってきたことがあったが、楽しく頑張ろうよ、と、なんとか苦しい時期を乗り越え、高校の時に音大に行くか、普通の大学に行くか迷った末、普通大学を選択した。でも、大学に入ってからの彼女は、とても意欲的で、コンクール、コンサート、、練習する時間がないと言いつつも、忙しい大学生活の合間に色々な事に挑戦している。本当に頭が下がる。

今日話をして感じたのは、彼女にとってピアノは、彼女の人生であるという事。彼女の出す音は、一年前とは、すっかり違う大人びた音色になってきている。

楽器を演奏するということは、自分自身の人生を語る事と同じだと思う。そして、それぞれの経験や年齢でそれぞれ違った音が出る。

私のアメリカの先生はユダヤ人で、ナチスの迫害にあった方だ。その先生の出す音は、「心に響く」などという一言ですませられるようなものではない。ショパンのノクターン遺作を、よくリサイタルのアンコールで演奏なさるが、それは、切なく悲しく、でも、先生の温かいお人柄と強さがその中にミックスされ、自然と涙が溢れてくる。何度聴いても、心打たれ震える。

今、ピアノや他の楽器を習い始めても、練習しない、塾があるから、とあっさり辞めてしまう方がたくさん居られるが、言葉では言い表せられない心の内であったり、成長過程の葛藤をぶつけられる1つの手段として、すぐ側に置いておいて欲しいと思うのは、私のエゴなんだろうか。。。

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